1

頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

彼女が食事の時間、急に呟いた。



「パンが食べたいよ。つぶあんが入ってるの。」

どうやらアンパンが食べたいらしい。

「・・・買ってこようか?」

「それならいらないよ。」

理不尽だった。



言葉の出ないまま過ごしてると7分後にまた呟かれた。

「パンが食べたいよ。こしあんが入ってるの。」

さっきと言っている事が違う。

「・・・欲しいなら買ってくるけど?」

「いらないよ。」

理不尽だった。



前回と同一周期で、また彼女が呟いた。

「パンが食べたいよ。しろあんが入ってるの。」

・・・何パンって言うんだろうか、その場合。

「流石に見たこと無いな・・・。」

「買ってきてよ。」

理不尽だった。



もはや狙いすましたように、また彼女が呟いた。

「パンが食べたいよ。玩具が入ってるの。」

そんなものは知らん。

「チョコエッグ?」

「パンに入ってないとダメだよ。」

理不尽だった。



律儀にも、また彼女は呟いた。

「もう、何でもいいからパンが食べたいよ。お腹空いたよ。」

条件反射で反応をしてあげる。

「買ってこようか?」

「お願いしたよ。」

「でもね、残念ながらもう昼ごはんの時間は終わりなんだ。」

「理不尽だよ。」


[戻る]