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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女に『妹』がいた。

諸事情により、彼女とその妹との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

そんな中、何故か妹さんが僕の家に来ることになった。



「りんくりんくりん♪これからよろしくお願いしまーす。」

会って一番の挨拶。

何故か僕は彼女の妹さんが家に来るいきさつを知らない。

親は親で、こっちこそすまないねぇ、とか言ってるし。

肝心の姉のほうは僕から取り上げた(?)ゲームを僕の部屋でやってるし。

ってちょっと待った、りんくりんくりん♪って何だよ。

どうにも居たたまれない気持ちになったので、僕は

一人こっそりと部屋を出て自分の部屋に戻ることにした。

しばらくは親が相手してくれるだろう。

しかしどうでもいいことだけど、彼女とは全くもって雰囲気が違う。

凄く明るいのだ。見た目は似てるのになぁ・・・。

ははは、何だか泣きたくなってきた。

なんてことを考えつつ部屋に入ったその時、

「おきのどくですが、ぼうけんのしょ2を消しちゃったよ・・・。ごめん。」

心底申し訳無さそうにしている彼女の姿があった。

ちなみにぼうけんのしょ2というのは僕のデータで以下略ああああ

でもゲームのデータくらいで彼女に手をあげるわけにもいかない僕は

どうにも居たたまれない気持ちになったのだ。



それからちょっとして

「あ、こっちだよ。」

姉が妹を呼ぶ声。

「おーねぇーちゃん・・・どるぅ♪」

妹がそれに反応して飛び蹴りをする声。

「げふぅ!」

僕がそれに巻き込まれる声。

嬉しいからって飛び蹴りするなよ。

三者三様な声を出しつつ、僕はその状況整理(と書いていきさつと読む)

を彼女にお願いしたのだが

「面倒だよ。」

素敵な返答が返ってきただけだった。

「面倒がらないでよねっ、これからお世話になる家の人なんだからねっ♪」

どうでもいいけど♪マーク自重したほうがいいな。

とか思いつつ常識ある妹さんに僕は涙で感謝したい気分になった。

「あ、でもそういえばまだお名前聞いてませんでしたよね・・・?」

と妹さんに言われたので

「あぁ、そうそう、僕は―」

答えようとした矢先、彼女が妹さんに

「これよ。」

ぼうけんのしょ2『ああああ』はきえてしまいました。

それを見てハッと妹さんは気付いたかのように、

「あ・・・そうなんですか、でも、そんな名前の人がいてもいいと思いますっ。」

気を遣われて、果てしない勘違いをされた。

「これからよろしくお願いします。ああああさんっ♪(・・・可哀想な名前。)」

絶対勘違いしてるだろと思いつつ、きっと流石に常識で考えればわかるだろとか

そんな淡い期待を持ちつつ、妹さんの本心が聞こえてるような気がしなくもなくて、

とりあえず今後どうなるんだろうという事を考えて

結局の所、名前を修正して貰えたのは姉の妨害もあって1ヶ月後になったという。

つまり、妹さんの中での僕の名前はしばらくの間以下略ああああ


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