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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。
目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。
諸事情により、彼女との関係は省くが
まぁご自由に邪推してくれて構わない。
勿論の事、彼女もまぁ夏バテしたり風邪引いたりするわけで。
「そうでもないよ。」
どこかで似た様な否定を喰らった気がする僕の記憶はさておき、
彼女が季節という概念を無視するかのように病気になった。
といっても何の病気かは知らされていない。
「ちょっと、病気気味になったよ・・・。」
と電話の声はいつもより弱弱しかった。
風邪気味になった、や熱が出る、と言ってくれればわかるものの
病気気味になったっていうのはよくわからない日本語である。
で、当然のごとく僕は彼女の見舞いに自発的に・・・
という名目で無理やり呼ばれたのだ。
着いて一番、彼女が真っ先に言った台詞。
「学校行ける気力が今は無いんだよ・・・。」
ちなみに今日は日曜日、明日までに直ってくれれば問題ないと思うが。
「多分、無理ぃ・・・。」
布団にうつ伏せになって彼女はそう言った。
いつものやる気なさげな瞳が、もっとだらけていた。
ついでに服もだらけていたが、それはそれで僕の目には良かったから黙っておく。
「まぁ、無理はしないように。しっかり休むこと。」
僕は親切心からそう言って、彼女にいつもより優しい態度をとった。
「もし何だったら直るように薬でも持ってくるけど?」
「あー、ありがとぅ・・・。じゃあ、そこの机の上のそれ取ってぇ。」
僕はそこに置いてあったゲーム機を取ってあげることにした。
「って薬じゃないし。」
「いやいや、五月病にはこれがよく効くんだよ。はぁ」
「はぁ」
何故か、僕達の溜息がシンクロした。
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