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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

僕は夜中一人でとぼとぼと歩いていた。



夜の街を歩く僕。心は沈んだままだ。

「あ・・・。」

誰かの声がした、だけど僕は早く家に帰りたい一心だった。

帰って思いっきり泣きたい。

そう思ってたら、急に立ちふさがる影が見えた。彼女だ。

「心配、したんだよ・・・?」

心なしか、目が潤んでるように見える。

そうか、僕がそこまで心配させてしまったのか。

「ごめん・・・また、やっちゃった。」

彼女にそんな表情をさせたことを悔いるように、僕は懺悔でもするかのように

何があったのかを告げることにした。



「というわけで、屋上にまた閉じ込められたんだ。」

「バカ・・・なんだよ、もう。」

そう批難する彼女の声にいつもの勢いはなかった。

「でも、どうして出られたの・・・?」

「あぁ・・・。」

僕はその事を思い返す。

帰って、思いっきり泣きたい。

「人間の思い込みって怖いんだ。」

「イメージ?」

彼女が問う。

「つまりね、僕は起きたとき屋上から出られないとばかり思っていた。」

言葉を繋げる。

「でも、そこが盲点だったんだ。」

そして僕は答えを告げた。



「トビラが閉まってるからって、鍵がかかってるとは限らなかったんだ。」



帰ってから、思いっきり笑われた。


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