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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

そんなこんなの帰り道。



「そういえば、凄かったんだよ。」

隣でいつものように話している彼女。

よくもまぁ話題が尽きないものだと関心する。

そしていつものようにその話を受け止める僕。

間違いなく僕は聞き上手な方だろう。実際上手ではないが。

「そういうわけで、シーチキンとマヨネーズは相性がいいんだよ。」

だが、会話の中身は実に取り留めの無い話題だったりする。

というかその程度の事を今まで知らなかったのか。

「そういうわけで、明日弁当を持ってきてあげるよ。」

同じ接続語を2回並べて使うのはあまり芳しくないことなのだが、

とりあえず実際弁当を幼馴染とはいえ作ってきてくれる事に

僕は何とも言えない嬉しさというか高揚感というか、

そんな奇妙な感情を覚えてしまったわけで

「そっか、ありがとう。期待してる。」

などと笑顔で切り返してしまうのだった。



あまりに予想のつく後日、こういう時間の流し方っていうのは

ありふれてるとは思うものの使い勝手がいい。

何の使い勝手がいいのかは各自で判断してくれればいい。

「朝早くから材料集めたんだよ!」

それを言うなら朝早くから作ったんだよの間違いではないのか、と思いつつ

所詮学生、お腹が空けば行動原理も自ずと弁当に目がいくわけで。

そこにある弁当箱を喜んで受け取ったのだ。

そして、オウプン。

そこには、数々のシーチキンマヨネーズおにぎり(105円〜125円)があった。

まぁ、確かに昨日の話題がいくらそれだったからといって、

お弁当箱におにぎり、しかも買ったものを入れるというのはどうなのだろうか。

「あ、1個は私も食べるんだよ。」

しかも数が減った。



「ごちそうさま。」

定型句、むしろ定型語を二人でシンクロして言った後、

「おいしかった?」

などと聞いてくる彼女に対して僕はどう言えばいいのだろうか。

「うん、美味しかったよ。」

と無難な答えを返したものの、本心では

いつもの料理より、という単語を挟みたくてしょうがなかったのは内緒だ。


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