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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

今日も今日とて僕と彼女は話題が尽きない。



「話題が無いよ。」

早速前の文を否定してくださった。

暇そうに彼女は僕の鞄を何だか漁ったりしている。

のだがすぐ飽きたようだ。どうせ楽しい物なんてありませんよ。

「いや・・・そう言われてもねぇ・・・。」

「どうせなら、もっと、何か暑いことがやりたいんだよ。」

「何で夏にそんな事・・・それに暑いじゃなくて熱いじゃないの・・・?」

「反論は認めないんだよ。」

認めないのはいいけど訂正はさせてほしい。

「タコ焼きの中のタコだけ、筆箱の中に忍ばせておくとか?」

「それって嫌がらせ?」

「いつでも食べられるんだよ。」

果てしなくいらねぇ・・・。

「麦茶かと思ったらコーンスープだったりとか?」

「匂いでわかっちゃうって、普通。」

「敢えて気付かないフリして飲むんだよ。」

それはないと思う。

「というか誰にそんな事させるのさ。」

「・・・じーっ・・・。」

「そこで『じゃあ僕がやるよ』なんて言うとでも?」

「やって・・・欲しい、よ?」

あぁ、そんなやる気の無い瞳で僕を見つめないで。

別に心揺り動かされないから、だから見つめないで。無意味。

「やって・・・欲しい、な?」

「ぅっ・・・!?」

あぁ、急にそんなうるうるした瞳で僕を見つめないで。

そんな目っていうか君に弱いんだ僕はって何を言わせるんだこのっこのっ!

「い、いや、また機会があったらね・・・?」

「うん、わかったよ。」

そういう彼女の瞳はいつもどおり・・・だが、どうにも口が笑っていた。

気になる、凄く気になる。

ダイレクトにニヤリ、とか言ってきても違和感なさそうだ。

僕はそんな彼女に警戒するかのように

飲み物を飲む最中も横目で彼女をマークしていた。

・・・。

―ああああああっつ!?

その麦茶であるはずのものは、コーンスープに変わっていた。

「匂いでわかっちゃうんだよ、普通。」

勝ち誇ったようにこちらを見る顔に対して、

僕は久しぶりに殺意と悲しみ、ついでにコーンスープを吐きかけてやろうかと思った。

ちくしょう・・・いつか復讐してやる・・・。



というかいつの間にすり替えたんだろう?


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