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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

最近、日常に刺激が無いとかそんな事を思う。



一言で言うなら、ゆるい。ぬるいのだ。

「夏だからだよ。」

「なら夏なんていらない、秋にチェンジしてください。」

まるで彼女のような台詞を吐く僕。ちなみに机にだれている。

「秋とか、暑くも無く寒くも無く・・・つまらない季節だよ。」

スポーツ、読書、睡眠、食欲という4つの代名詞を果たしている季節に何を言うか。

今すぐ全国の秋に謝れっ!

「秋になったらね。」

一応謝るつもりはあるのね・・・。

「そもそも、こんな汗が滴り落ちる爽やかな季節に刺激がないとか贅沢だよ。」

そういう彼女は陽射しから体を守るような服装、汗もかいてない。

「もっと、夏をエンジョイすべきだよ。海とか、うみとか、Seaとか。」

それは選択肢のつもりですか?

「・・・そうだ!」

彼女は急に水を得た魚のような表情をし、

「海に行くよ!海に!」

などと言う言葉を吐いた。むしろ水を得たい魚・・・?

その仕草がとある小説に出てきた団長にそっくりだった。

まぁ、目元はあいからわずやる気がないが、それももうデフォルトだろう。

「海って言ったって、この近くにはないだろうし・・・。」

「あの子、車の運転できるから、大丈夫だよ!」

あの子というのは妹さんの事だろうか。きっとそうに違いない。

しかしいつからこの国では未成年者も一般自動車免許を取れるようになったのだろう。

「運転できれば免許なんていらないよ。」

そっか、そうなのか。

きっと彼女がそういうのならそうなのだろう。むしろそういうことにしておこう。

別に考えるのが面倒になったからというわけではない、

一般論を唱えるのが馬鹿らしくなっただけである。

「で、一応聞きたいんだけど誰と行くの?」

僕はそう聞いた。

「んー・・・。」

彼女はしばらく悩んでから

「クジで決めましょ!」

そう言った。絶対わざとだろ。


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