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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

とにかく、僕と彼女は海に来た。



「いやはや、恥ずかしいんだよ。」

いつの間にか目的地が変わっていた彼女を正気に戻して、

この青い世界と向かい合う。

「まるで、盗んだバイクで走り出そうとしたらエンストした気分だよ。」

それはどうにもノリが悪いな。ついでに言うならどんな気分ですか。

「それにあれだよ。海は広くて大きくて、とか言うけど。」

彼女の台詞は止まらない。

「こんな海水浴場なんかだと広いとも大きいとも思わないんだよ。」

「まぁ、しょうがないって。」

海に来てもいつものノリ。それが僕達。

「海の家。」

「海の家だね。初めて見るな。」

「青い海。」

「海が青いね。」

「佃煮。」

「つくだにっ!?」

「これぞ海、って感じなんだよ。」

最後だけは分かりません。

「れっつ、海で泳ごうよ。」

「わかったわかった、じゃあ行こうか。」

僕達は海に向かって歩き出す。

途中で素足にかかる水が気持ちよかった。

そして僕のズボンは一瞬にして濡れて、

「うおぁっ!水着着てない!」

そう叫ぶハメになった。


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