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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目はたれ目で二重、まぁ可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

雨が止むと暑くなるものだ。



「暑くてだれるよ、こんな時は精一杯泳ぎたいよ」

彼女の口から精一杯という言葉が出てくる事に、珍しいと思ってしまった僕がいた。

でも確かに暑い、蒸し返すように暑いのだ。

泳ぎたいという気持ちは尊重すべきだろう。

「どこか泳ぎにでも行く?」

昔海に行って疲れたから、出来れば他の場所が良いななんて

淡い期待を抱きつつ質問してみた。

「やっぱりいいよ、冷やしそうめんで我慢するよ……」

予想の斜め上の答えが返ってきた。

泳ぐのと冷やしそうめんではベクトルが違うような気がするのだが

今更それに突っ込むなんて無粋なこともしない。

「でも夏バテ対策なら、うなぎが良いって聞いたことあるよ」

……僕に買ってこいと?

「安物で我慢するよ」

……え、僕がお金出すの?

「ありがとう……だよ」

その瞳は反則だと思うんだ。



予想外の出費に若干へこみながら、それでも彼女の元気が少しでも出るならいい。

そんな事を考えてしまう自分自身に少し笑いながら、僕はうなぎを買ってきた。

「でも実際、僕より元気があるよなぁ。まぁいいけど」



そしてその日の夜、僕と彼女と妹さんと三人で食卓を囲んでうなぎ丼を食べた。

「というと聞こえはいいけど、実際はごはんに乗せて食べるだけなんだよな」

「何の話ですか?」

「いや、なんでもない」

「美味しいよ、うなぎの味がするよ」

そりゃうなぎだし……。

「うなぎ美ー味し、あのやまー♪こぶなつーりし、かのかわー♪」

「うなぎじゃなくてうさぎだと思うんだ。それと美味しいじゃなくて、追いし」

「でも皮はこんなにいらないー♪ぽいーっ♪」

僕の米の上に、うなぎの皮だけ贈呈された。

「いや、困るから、素直に」

「追加だよ、ぽいっ」

次からうなぎは買わない、絶対に。



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