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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

今日の彼女はいつもと雰囲気が違う。



「私は、いつからか大切な事に気付いたんだよ。」

いつもの彼女の表情とは違う。

強いて言うならば、感情がある声だ。

「どうしてこんな事に気付かなかったのかと、私は落ち込んだよ。」

そして彼女は語りだした。

「こんな、こんなに近くにその人がいたんだよ。」

僕の方を向く。

1アクセントを置いて、彼女は急に真面目な声で話し出した。

「貴方が、貴方が私の探していた人です。」

そして丁寧な声で、珍しく僕の事を貴方と呼ぶ。

とても気恥ずかしそうに、とても言いにくそうに。

「お願い、最後まで言わせないでよ。」

僕の方から目を背けて、だけど最後の言葉を言おうとする。

僕もそれを理解して、言葉を渡す。

「あぁ、わかった。それ以上言わなくて良いよ。」

それは、精一杯の思いやり。だけど

「そう、でも、そんな訳にはいかないよ。」

その彼女には強い光が宿っていたように見えた。

「貴方が・・・。」

彼女が言葉を紡ぎだした。



「貴方が、犯人です。」



前日、彼女は推理番組を見ていて影響を受けたらしい。


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