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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

たまに彼女は精神年齢が低いことがある。

もっとも本当にたまに、なのかは疑問だが。



今日も今日とてネタが尽きないのか、彼女が話しかけてきた。

「それでね、最後に死んじゃったはずの妹が話しかけてくるんだよ・・・。」

今日の話題は夕べにやっていたホラーゲームの話題らしい。

「『おにいちゃん、寒いよ、寒いよ』って言うんだよ・・・。」

珍しく彼女が感情移入をしている。

「それで、赤い手が迫ってきてるんだよ、怖いよ・・・!」

そう言っている彼女の顔を見て、随分可愛らしいと思う僕は間違っているのだろうか。

どうでもいいけど、ビクビクしてたり小動物的な動きをしている女の子を

可愛いと思うのは僕だけじゃないはずだ。うん、きっとそうだよね。

「それでね、最後にその男の子も・・・。」

もっとも自分はホラーに興味がないので彼女の話を受け流して聞いている訳で。

・・・最近こうやって彼女の話を受け流す事も増えたような気がする。

「・・・で、その忠告を聞かなかった男の子は妹さんに殺されちゃったんだよ。」

もっとも、今の彼女は受け流されていると理解しつつも話しかけてくるわけで

つまり、話し上手というのだろうか。勿論僕も悪い気はしていない。

となると僕は聞き上手?それはどうなんだろうな。

「ねぇ、さっきから私の話聞いてるのかな・・・?」

珍しく彼女がうつむき気味に、僕にそう問いかけてきた。

「いや、まぁ、大体は聞いてたよ。」

「へぇぇ、そうなんだ。じゃあ、お兄さんはどうして妹さんに殺されちゃったんだろうね?」

いつもと彼女の様子が違う。

その瞳からは何も読み取れない。

「あ、どうしたんだよ、何かいつもと違うぞ・・・?」

「教えて、欲しくない・・・?」

人の話を聞かず、真剣に僕を見ている。

僕は、その雰囲気に呑まれ首を縦に振った。

「ふふふ・・・。」

彼女は嬉しそうに笑った。今まで見てきたどの表情でもない。

「どういう事かというとね、こういう事なんだよ。」

そして僕を見て言った―



「ねぇ、おにいちゃん」


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