9
頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。
目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。
諸事情により、彼女との関係は省くが
まぁご自由に邪推してくれて構わない。
彼女は、今も昔もゴミはきちんと分けるほうだ。
「ねぇ、言いたいことがあるんだよ。」
帰り道、彼女に言われた。
「何で急にゴミの分別の話になるの。」
「うーん、とうとうネタ切れ?」
「何の話なのよ。」
それは僕に聞かれても分からないことは確かだ。
「そういえば、ゴミの分別の話で思い出したけど」
僕は話題を持ちかけた。
「今日の家庭科の授業で作ってくれたクッキー、家に帰ったら食べるよ。」
今日の授業で、彼女から貰ったのだ。
「そっか、よく出来てると思うんだよ。」
「うん、程よくチョコっぽい黒い見た目に炭っぽい味もしたしね。」
彼女に直接まずいという勇気は僕にはなかった。
ある意味それ以上の酷い言葉ではあると思うのだが。
「自信作だよ。」
天然にはかなわない。
そういって、彼女はバッグから飲み尽くしたペットボトルを
コンビニのゴミ箱に捨てた。
「・・・ねぇ、言いたいことがあるんだよ。」
彼女が急に呟いた。
「何で、ゴミ分別の話でクッキーを思い出すのかな・・・。」
黒いオーラが僕を包んだ。
「く、クッキーにされるぅ!!!」
それが僕の言った最後の言葉だった。
[戻る]