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頭には跳ねっ毛。髪は肩に届くくらいの黒セミロング。

目にやる気が無い、でも可愛い少女がいた。

諸事情により、彼女との関係は省くが

まぁご自由に邪推してくれて構わない。

彼女は、今も昔もゴミはきちんと分けるほうだ。



「ねぇ、言いたいことがあるんだよ。」

帰り道、彼女に言われた。

「何で急にゴミの分別の話になるの。」

「うーん、とうとうネタ切れ?」

「何の話なのよ。」

それは僕に聞かれても分からないことは確かだ。

「そういえば、ゴミの分別の話で思い出したけど」

僕は話題を持ちかけた。

「今日の家庭科の授業で作ってくれたクッキー、家に帰ったら食べるよ。」

今日の授業で、彼女から貰ったのだ。

「そっか、よく出来てると思うんだよ。」

「うん、程よくチョコっぽい黒い見た目に炭っぽい味もしたしね。」

彼女に直接まずいという勇気は僕にはなかった。

ある意味それ以上の酷い言葉ではあると思うのだが。

「自信作だよ。」

天然にはかなわない。

そういって、彼女はバッグから飲み尽くしたペットボトルを

コンビニのゴミ箱に捨てた。

「・・・ねぇ、言いたいことがあるんだよ。」

彼女が急に呟いた。

「何で、ゴミ分別の話でクッキーを思い出すのかな・・・。」

黒いオーラが僕を包んだ。

「く、クッキーにされるぅ!!!」



それが僕の言った最後の言葉だった。


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