2008/05/21
〜閉じられた世界〜


何かが違う、僕の本能がそう告げていた。
勿論良い意味にではない、暗い……いや、悪い意味にだ。

その違和感を感じえぬままに、手元の明かりをつける。
いや、つけようとした。

つかなかった。電球が切れたのだろうか。

仕方なく別の場所の明かりをつけ―
そこもつかなかった。

その時僕は理解した。



僕は、閉じられた世界に迷い込んでしまったのだと。




というわけで、今日家で、停電がありました。
最初は停電なのか、ブレーカーが落ちたのか
といっても後者は体感したことがないのでよくわからなかったのですが
非常に焦りました。

電気が無いと不便だ、というのは言うまでもないことなのですが
実際それを数時間程度味わって、これほど恐ろしいのかと実感しました。

明かりがつかなくて、家の中を暗闇で探索せざるを得ない状況。
連絡しようにも電話も動かない、携帯の充電すら出来ない。
家の中で自分以外に動くものは、電池で動いている時計だけ。
聞こえるのはその無機質なチクタク音だけ。

勿論、家事なんて出来るはずもなく、出来るのは外に出て状況を把握すること。


電源のギリギリだった携帯で知人に連絡をして、アドバイスを貰って
とりあえず管理人に聞こうということで外に出ました。

結局管理人には会えなかったのですが
エレベーターや、マンション自体の明かりが消えていたので、恐らくマンション規模の、
近くでやっている工事の影響だろうということまではすぐわかりました。

時間が経てば自動的に復活するだろうという目論見通り、数時間後に復活しましたが。


その時味わった微妙な現実感は、複雑なものでした。

とあるゲームで、電気や水の止まった世界というのがあった気がしましたが
まさか今日その心境を深く察することになるとは思いませんでした。

主人公はよく落ち着いていられるよ、と。


自分はどう頑張っても慌てふためく親友程度の役しか出来ないな、と思った日でした。



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